コケ
私、吉田愛一郎は小学生の時、牧野富太郎先生に憧れてシダとコケの採集に明け暮れました。採集したサンプルは実に膨大で狭い部屋を占領する位の分量でした。 ある時、そのコレクションが小学校の担任の先生の目に留まり、提出するように申し渡されました。当時はそれをどうするのかなど詮索せずに提出したところ何時になっても返却されず、どこに行ったかとの質問にもうやむやな返事しか返らず、結局そのコレクションの消息は不明となってしまいました。 博物館かどこかの資料になったのだと推察されます。当時はそんな理不尽なことが当たり前にあったのでしょう。 それから半世紀を遥かに越えた今、76才の私はコケの研究を始まます。
コケとは
どうやらコケは陸上で生活する最古の植物なんだそうです。海の藻が陸に上がって来たとする説を唱える人もいます。 植物というからには葉緑素を持って光合成をします。同じじめじめした所が好きなキノコは菌類で植物ではありませんが、シダとは同じ光合成仲間で共に緑色をしています。しかしシダが根があり根から水や養分を吸い上げるのに対して、コケは根がありません。よく見ると根のようなものはありますが、それは養分を吸い上げる機関ではないのです。だから根ではなく、仮根と呼ばれています。 コケの中には養分や水分を吸い上げる根を持っている種類もあるそうですが、殆ど全てのコケの仮根は岩や土や樹木にしがみつための爪のような役割しかありません。だからコンクリートにへばりつくコケがあるのです。
八ヶ岳コケプロジェクト
耕作放棄地再生のトップランナー㈱グリニッシュはコケの第一人者 山形県のモスファームとの提携により八ヶ岳南麓の北杜市を都市緑化の発信基地にします。
ハイゴケ
苔とはどんな生命体なのでしょう。
苔は植物?キノコなどの菌類? 苔は葉緑体を持った植物でキノコとは別の生き物で、胞子で増えるところは むしろシダと近いかもしれません。 海から上がった最初の植物 苔は蘚類と苔類、それにツノゴケという種類に分けられます。熱いマグマの塊だった地球はやがて水の玉になりました。やがてその水玉の下に地殻が出来て陸になって行きます。 その陸に海からはじめて上陸した植物がコケです。コケには根がありません。 根のような部分がありますが、これは仮根といって、地面や 岩や木にしがみ付く手足のような物です。 だからコケは石垣やコンクリートや瓦で生息できるのです。
コケの増殖
コケには雄株と雌株があり、受精した雌株は胞子体を造ります。胞子は風で吹かれたり、水で流されたり、人を含む 動物によって、拡散し増殖します。たとえちぎれた一部分から でもクローンのように完全体になる能力も持っています。
コケの効能
モスグリーンを見るとストレスが軽減されることが様々な研究や実験で判りました。
コケの消臭と抗菌 コケは空気中の水分を吸収したり金属類を吸収して蓄積しますので、消臭や浄化作用があります。
温度と湿度の調整
コケは保水したり蒸散したりを繰り返して湿度や温度を安定させることができます。


我々が屋上とか壁面緑化に使うのは同じコケでもハイゴケやスナゴケという藻類 です。
藻類と言えば海藻が頭に浮かびます。ソウです。コケは地球誕生から一番先に陸地に上がってきた海藻だったのです。だからコケの根は草木のように 根から栄養を吸い上げる機能が未発達なのです。しかしそんな根でも岩やコンク リートにしがみ付き、風で飛ばされることを必至に防いでいます。そして自重の 10倍もの水を蓄えてヒートアイランドから建物を守り、日本を護ります。


